ヱビス クリエイディブブリュー ほうじ茶の余韻1

 ヱビスブランドのクラフト系ライン、クリエイティブブリューより、2024年12月17日からセブンイレブン限定発売、ほうじ茶の余韻は、実際にほうじ茶を醸造に使用しているなかなかおもしろそうな逸品。

 じっくり焙煎したほうじ茶を、麦芽やホップとともに上面発酵酵母で時間をかけて醸造した「香ばしい風味と深みある味わい」が特徴とのこと。

 原材料は麦芽、ホップ、ほうじ茶。度数は5.5%。色合いは明るめの琥珀色で、ちょうどパッケージの色に近い。泡もわずかにオレンジ色がかっており、適度な粘度を有しつつ繊細でふわふわとよく泡立つ。

 さてどんなものか。グビリとやり、ほぅ、と声が出る。

 旨い。確かにほんのりとお茶の風味が香るが、それはビールにとって決して違和感のあるものではない。

ヱビス クリエイディブブリュー ほうじ茶の余韻2

 むしろこのほうじ茶の要素が、ビールの苦味や渋みを、そして旨みを、より引き立てている。エールビールらしい甘みやフルーティさ、まろやかなコク、麦芽の香ばしさも同様に、お茶の風味によって濃厚に感じられる。

 それだけではなく諸々のビールの味わいが、商品名通りほうじ茶の余韻により、魔法のごとく和の風情へと変わり、それがやはりまったく不自然でないのが凄い。

 むしろこの味こそが、ビールが真にあるべき姿なのではないか―――とすら思わさせられるのは、飲む側に日本人の感覚があるがゆえか?

 奥の方には濃厚な甘さやフルーティさがあるものの、前面に来るのは心身に染みるような苦味と渋味である。味わいの傾向としては、本家オリジナルのヱビスビールに近いかもしれない。

 もとよりオリジナルのヱビスにはどこかに和を感じる風味があるが、それも含めた味わい全体をより濃厚かつ重厚にしたような印象。

 それにしても、ほうじ茶がこんなにもビールを“真っ当に”おいしくするものだとは思わなかった。お茶のビールと聞いて、かなり変わり種のクラフトなんだろうなと最初は思っていたのだが……うれしい驚きの感情がある。

 もちろん、このお茶の風味&和の風情は、他のビールにはない変わった要素ではあるだろう。ただその個性が、新たな日本麦酒の王道になるのではと感じさせる、そんなビールである。