東京クラフト〈スタウト〉1

 サントリーのクラフトビールブランド、東京クラフトより2025年1月14日発売、限定醸造のスタウトを飲んでみたい。

 「黒麦芽などの濃色麦芽の芳醇な甘み」と「やわらかな余韻」、「黒麦芽のロースト香」と「エール酵母によるフルーティな醸造香」が特徴とのこと。甘い系の黒ビールなのかな。

 原材料は麦芽とホップ。度数は6%とちょっと高め。ブラウンの泡の粘度も高く、ねっとりとした感触。漂うのはローストされた麦とともにあるレーズンの香り。

 さてグビリ。最初に来るのは、黒ビールらしい酸味だ。そしてローストされた麦芽の香ばしさ。フルーティな甘さがそれらに寄り添っている。

東京クラフト〈スタウト〉2

 旨みの成分もむろん存在するが、それらは濃厚なコクと混ざり合い、また酸味や甘さの爽やかさとの対比もあって、味わい全体を優しく包み込む「まろやかさ」の一部となっている。

 ひかえめな苦味もまた、ロースト香とまじわって、黒ビールらしい「香ばしさ」の要素となっている。そしてそれはじっくりと心身に染みる余韻にもなる。

 甘い系黒ビールかなと思ったが、甘すぎはしない。味そのものは爽やか系という感もあるが、ロースト香と苦みが演出する香ばしさはなかなかのアクセントで、コクと旨みが融合したまろやかさも濃厚だ。

 それでいて飲みやすいのも間違いない。黒ビール的なクセは少なめで、こってりとしたタッチにも関わらずどこかクリアな感覚があるのはサントリー品質か。

 極めて上質な、日本のクラフトビールらしい黒ビールといった感がある。

 公式によれば「寒い日にゆっくり飲んでほっと癒されるビール」とのこと。なるほど、寒い外から帰り、暖かな部屋で、その日一日を想いながら、じっくりと飲みたい黒ビールである。

 限定醸造なので、そのうち手に入らなくなる可能性がある。この冬のうちに、機会が許せば飲んでみてはいかがだろう。