東京クラフト〈ペールエール〉1

 東京クラフトはサントリーが作っているクラフトビールシリーズで、今回飲むのはそのひとつ―――名前の通りペールエールとなる。

 マンダリーナババリアホップなるホップを一部使用することで、さわやかな柑橘香を強めた作りになっているとのこと。また醸造しているのは東京は武蔵野にあるサントリーのビール工場だそうな。

 原材料は麦芽とホップ。度数は5%。公式サイトの写真やパッケージからは、色合いはかなり明るめのレモン色を予想していたが、実際には琥珀色といってもいい、結構濃いめの色である。

 泡は軽やかなクリーミーさを有しつつ、繊細でさわやかさっぱり。漂う匂いはやわらかなオレンジの中に微かなミルク。

東京クラフト〈ペールエール〉2

 さてさてゴクリ。まずはさっと風のように、柑橘の甘い香りが通り過ぎる。そのあとでホップの苦味が、一瞬置いて麦芽の旨みが口の中に広がる。

 香りと甘み、苦味と旨み、それらが混ざり合いつつ口内を満たしたころ、なかなかにしっかりとしたコクが味わい全体を包んでいることに気付く。

 混じり合った味わいは余韻として残るが、最後まであるのはほろ苦さ。そのほろ苦さも、わずかな柑橘の香りの残滓を帯びているのか、どこかさわやかである。わずかなグレープフルーツ。しみじみと沁みる。

 各種の味わいが濃厚でありつつ、それでいて澄んだ印象が一貫してあるのはサントリーの天然水ビールらしい飲み口。あるいは澄んでいるからこそ、各種の味わいをはっきり感じ取りやすいのだろうか。

 パッケージのデザイン、東京クラフトという名前を意識しながら飲み進める。うむ、都会的な軽快さとモダン性、それでいてちょっとレトロなイメージも想起される(モダンという言葉がそもそもレトロではあるが)。

 なんにせよ、洗練された味わいと飲み口である。クリアで洗練された感覚というのはサントリービールの得意とするところだが、このビールは特にその洗練度が高いように思う。

 サントリーらしさ+お値段分の質の高さ…+クラフトビールらしい独特さと個性。それらをすべて有した、なんとも旨い、特別なビールであると思う。