水曜日のネコ – あっさりミルキー、甘いホワイトエール。猫のような気分になる、ちょっと不思議な軽やかさ
ヤッホーブルーイングの水曜日のネコは、小麦麦芽を多めに使用したホワイトビールであり、ハーブなどを使用したグルート(独自のビール用ハーブミックスのこと)ビールでもある。
そのビアスタイルは「ベルジャンホワイトエール」と呼ばれ、発祥はベルギーとのこと。
原材料は大麦麦芽・小麦麦芽・ホップ・コリアンダーシード・オレンジピール。度数は5%。ヤッホーのビールのなかでは、ライトでフルーティ、ソフトな味わいであるようだ。
色は極めて淡く明るいレモン色。泡は白ビールらしく純白で、繊細かつさっぱりしている。
さて一口。まずは泡が有する、低脂肪乳のようなあっさりしたミルキーさを味わい、そのあとで白ビールらしくマスカットの甘みが全面に来る。
その裏側にはちょっとクセのあるレモン、グレープフルーツの風味もあり、適度なスパイスとなる。
麦の旨み成分は、余韻としてかすかに残る程度か。苦味はほとんど感じない。にも関わらず、こいつを旨い“ビール”だなぁと思えるのは、考えてみれば不思議だ。
飲み口は徹底的に軽やかである。まさに、猫のように飛び跳ねたくなる。酔っ払いながら、スキップ、スキップ。
香りも味も、華やかでありつつ穏やかでナチュラル。化粧も衣服も簡素なれど、若さの輝きと素の美しさで十分きらめいて見える少女のようであり、そんな少女のような麗しさを持った猫の姿も想起させる。
味わいが有する雰囲気は、ライトでポップ、おしゃれで都会的―――でありつつ、ちょっと不思議な、童話や絵本の世界を思わせるような部分も感じる。
まさに猫のように、コロコロといろんな顔を気まぐれに見せながら、どこかに神秘的なものをまとっている、そんなビールなのかも知れない。
軽くてスイートながら、満足感はしっかりとある。いい白ビールだ。