スプリングバレー 華やぐ冬〈香〉1

 キリンのクラフトビールブランド、スプリングバレーより2024年12月3日発売の限定商品、華やぐ冬〈香〉を飲んでみよう。

 何よりの特徴は副材料としてシナモンが含まれているということ。ドイツのお菓子「シュトーレン」をイメージし「シナモンの香りを特長としながらも、バランスのとれた甘みと飲みやすい味わい」「やわらかな甘みとコク」のビールとなっているそうな。

 原材料は、麦芽、ホップ、糖類(乳糖)、シナモン。度数は5.5%。色合いは濃いめでやや琥珀がかった金色。泡は繊細でまろやかな感じかな。

 最初の一口から、おお、と思う。なるほどシナモン。かなりわかりやすくシナモンだ。

 その後に口の中に広がるのはフルーティな酸味。ちょっと遅れて到着しつつ、じっくりと舌に染み込むなかなか重厚な旨みと甘み、そしてコク。コクは味わい全体を包み込み、さわやかな飲み口をどこかこってりとさせ、喉越しをまろやかにしている。

スプリングバレー 華やぐ冬〈香〉2

 洋菓子を参考に造ったというのもさもあらん。洋菓子と、それに使われている洋酒のイメージもある。白ワインやブランデー。そういえばシャンパングラスで飲むのがおすすめと、公式のどこかに書いてあったな。

 ベースにあるのは、かなり旨み甘みが濃いめのビールであると感じる。そこにシナモンの風味が加わることで、絶妙な軽やかさと爽やかさ、そして高貴といってもいい華やかさを生み出している。

 パッケージにも書かれているが「冬にぴったりのウィンターエール」。さわやかな飲み口のなかに、飲む者をほっとさせる濃厚さや、抽象的な表現ながらあたたかさのようなものを感じさせる。

 冬用ビールとされるものにはこういう傾向のものが多いな。コタツで食べるアイスクリームみたいな―――ちょっと矛盾しているようで実はしっくりくる、そんな感覚。

 うむ、さすがスプリングバレーだけあって旨い。シナモンの個性が強いので、一年中飲んでいると飽きるかもしれないが、それゆえに限定販売なのは正しい。

 クリスマスや年末年始に、パーティの場で、おしゃれな料理と共におしゃれに頂きたい、そんなビールではないだろうか。