ムーチョ・アロハ ハワイアンスタイルペールエール – 酵母がもたらすこってりとしたコク。その中にある南国フルーツ
輸入食品店で見かけた外国のビールを飲んでみよう。
ムーチョ・アロハはハワイ育ちのサーファー醸造家によって設立されたクラフトビールメーカーで、酵母を重視した哲学によって、ナチュラルでハワイアンなビールを造っているそうな。
その商品のひとつ、ハワイアンスタイルペールエールは芳醇な香りを楽しめる飲みやすい味で、メキシコ料理やBBQ、ハンバーガーなどアメリカらしい料理、あるいはシーフードと合わせるのがおすすめとのこと。
原材料は麦芽とホップ。度数は5.5%。蓋を開けた段階から、甘さと苦さが入り混じるグレープフルーツ系の匂いが香る。
色合いはやや濁った琥珀色。濁りがあるのは、酵母の濾過を控えめにしているからだろうか。泡はちょっと赤みがかっており、これも酵母の存在を感じさせるねっとり感がある。
その泡を啜る。まろやかでこってりとした泡に、意外やホップの鋭い苦みを感じる。グビリといく。ビール本体には、フルーティな甘さと軽やかながらもなかなかに濃い麦の旨みが満ちている。
喉越しはまろやかで、スムース。全体的にもライトな飲み口であり、なるほど南国を思わせる風情があるが、味わいそのものは結構重厚で奥深いものを感じさせる。
あまりアメリカンビールっぽくないようにも思うが、醸造家はベルギービールに強く影響を受けているらしい。確かに飲みやすい中にベルギーの古典的ビールにありそうなタッチがあり、また日本のクラフトビールとして出しても違和感がなさそうな味もある。
この味わいの主役は、やはりメーカーが大切にしている酵母―――それがもたらす感覚、そして濃厚なコクであろうか。
ハワイを思わせるビーチで、料理と共にカジュアルに飲むもよし。またその味わいをじっくり探究するように、しみじみ飲むのもまた旨い、見事なクラフトビールであると思う。