ヒューガルデン ホワイト – ベルギー伝統のホワイトビール。甘さと飲みやすさのなかにある歴史ある素朴さ
ヒューガルデンホワイトは、ベルギーにあるヒューガルデン村というところで、600年以上のむかしから作られてきた伝統的ホワイトビール。
ヒューガルデン村のホワイトビールの歴史は20世紀に一時途絶えかけたが、ベルギーホワイトビール界における中興の祖というべき人物・ピエール・セリスが復活させたものだそうな(ただし今回飲む缶ビールについては、製造工場は韓国の模様)。
原材料は大麦麦芽、ホップ、小麦、コリアンダーシード、オレンジピール。度数は5%。色合いは白濁したレモン色で、泡はかなり繊細かつミルキーな感じ。
一口目から感じられるのは、白ビールらしいマスカットの甘さである。その甘さにうっとりとした直後に、コリアンダーシードとオレンジピールの香りと味が訪れ、甘いだけではない渋みももたらしてくれる。
とはいえ苦みはほぼ感じないし、飲み口はどこまでもあっさり、さっぱり、フルーティ。麦の旨みも、フルーティな甘さを引き立てる裏方役に徹しているように思う。
2杯目はちょっと大胆に注ぎ泡をもこもこ立ててやった。するとこの泡がなかなかに旨い。軽やかなミルキーさの中に、フルーツの香りや甘さはしっかりとある。ただしすぐに消えてしまいがちなので、注いだらさっさと啜りたい。
味も香りも華やかなれど、どこか素朴な感じもある。華やかさから想起されるのも野に咲く花。目を閉じて浮かぶのは欧州の農村。そこから望まれる青い空、白い雲、美しい山々。
ビールが苦手な人にも飲みやすい、甘口でフルーティなビール―――というならその通りだが、ちょっとありふれた売り文句だし芸がないな。
むしろ昨今の濃厚で刺激的なビールに飲み慣れた、あるいは飲み飽きた人が飲んでみて、その素朴さ、そのなかにある奥深さをしみじみと味わう、そんなビールでもあるのかも知れない。