ビアサプライズ 至福の苦味1

 サッポロのビアサプライズ 至福の苦味は、2024年11月12日よりファミリーマートで限定販売されているビール。

 その名の通り売りは苦味で「高α酸のビターホップを初沸で添加」することで苦み引き出し、また香り付けにも2種類のホップを組み合わせているとのこと。

 原材料は麦芽とホップ。度数は5%。色はかなり明るめで透明感もあるレモン色。泡は荒めでシュワシュワしつつ、グラスの上においてはほどよくまとまりクリーミーさも帯びる。

 さてグビリと一口。まず最初に感じるのは、ビールらしい苦味・旨み・甘みがすべて混じり合った強い味わいである。どの要素も濃厚。その一瞬後、苦味が強く全面に出てくる。

 鮮烈な苦味にくぅ~っ、と染みる思いを味わっていると、やや遅れながらも、旨みや甘みの要素も到着し、再び苦味と混ざり合う。ビールの深く強い旨さ。

 余韻としてほのかに残るのは、ほんのりとしたマスカットの甘さと香りである。

ビアサプライズ 至福の苦味2

 飲み口や後味はさっぱり爽快。喉越しはキレのあるドライな辛口。洗練されたクリアな感覚のなかに、味全体にほどよいまろやかさを与えるコクもある。

 苦味が前に出ていることはまちがいないが、それ以外の要素もガッツリと濃い。苦みが売りのビールを、ただ苦いだけにはしていないそれらの味を探求するつもりで飲むのも味わい深く、おもしろい。

 苦み及びそれ以外の味わいにせよ、王道的といえばそうで、そういう王道的な味を濃厚に強化したビールとも思えるが、同時に意外と個性的で稀有なビールともいえるのかもしれない。

 強い苦みを持つビールといえばIPAだけれども、IPAほど強烈ではない。その一方でIPAでは感じ取りにくい旨みや甘みといった、苦み以外の味わいをわかりやすく感じられる。普通のビールよりは当然苦く、濃い。

 またIPAやクラフト系ビールにあるどこかヘビーな感覚(味わいだけではなく、気分的なものも含めて)は少なく、普通のビールが持ついい意味でのライトさ、気軽さは有している。

 この絶妙なポジショニングは、他にはないものなのではないか。

 それにしても、ビールのパッケージというのは、よく考えられたものだね。明度が低く、彩度の高い深緑(そのなかには、さりげなくホップの絵が存在する)。これはホップの鮮烈な苦みをよく表現しているし、文字等に配色されているやや暗めの金色は、その苦みの中にある濃厚な旨みをあらわしている。

 なんにせよ、うまかったわ。苦みをセンターにしつつ、それ以外の味わいもきちんと楽しめる、そんなビールを飲みたいなら、いまのうちにファミマへ行こう。